白い犬なんて、きっと一生見えない。
「白い犬とワルツを」読み終えました。
サムは自分にしか見えない犬の正体は亡くなった奥さんじゃないか、解釈しますが、まぁ読者は「そうだろうなぁ」と思いますよね。
でも、バスの中で読み終えた頃、私は少しだけすすり泣きしました。
サムの日記もですが、奥さんに先立たれてから墓参りで一人大泣きしたり、素直に「寂しい」と書いていたり、とにかく奥さんへの愛をひしひしと感じるのです。
この小説のキャッチコピーは「あなたには白い犬が見えますか?」みたいな感じだったけど、解説にも書いてあるように「あなたは白い犬が見えるような人生を送ってきましたか?」が正しいみたい。 なんともドキリとします。
8人の子供を産んで育てて、その子供たちも両親を愛してるからサムをやや過剰に心配して、みんな自分の家庭があるのに誰も嫌な顔せずに一人暮らしの父親の世話を焼く・・・。 こんな幸せがあるんでしょうか。
私は姉と2人姉妹ですが、両親が病気になったり、例えば父と母のどちらかが先立っても、甲斐甲斐しく世話なんて焼けません。
多分押し付け合いになると思うし、姉と仲良しのままでいられる自信もありません。
特に私は、両親が好きではありません。 2月程前にLINEで絶縁宣言した程です。
母は「育て方を間違えた」と思っているでしょう。
それに、万が一私が母親になったとしても、サムやコウラ夫婦のような親にもなれません。
素敵な小説なのに、こんな気持ちになるのは何故でしょうか。
私には一生白い犬は見えないかな。